大学のあり方:ビジネス系大学教育における質保証(2)

Contribution University

基礎学力の不足
高校(小中学校も当然含む)までの基礎的な知識の未習得がこれに該当します。
「近頃の大学生は分数の足し算もできない」と報道されることもありますが、単にやり方を忘れてしまったというレベルではなく、そもそも高校までの教育内容に追いついていないという深刻なレベルの学生が大学で学ぶことになります。

これについては、入学試験というスクリーニング(選抜)により、基礎学力が不足している学生にお引き取り願うことで、一定のレベルを保つことができていました。このハードルが下がっていることは、これまでも指摘したとおりです。

もう一つ顕在化していない事柄として、大学の専門教育偏重ということも指摘しておかなければなりません。どんな学生も多少の学習領域(科目)の得意不得意はあるものです。それでも高校までの基礎学習という意味では、得意不得意を感じつつも、広い範囲の基礎学力を得ておくことが求められます。

しかしながら、高校生の早い段階から「文系」「理系」に区分けされ、直接受験科目に関係ないとされている他方の系統の学習は軽んじられる傾向にあります。到底、この傾向を許容するわけにはいかないのですが、仮にこの傾向を許容できたとしても、さらに「理系」「文系」なるものを判断する材料の選定がお粗末です。「数学が苦手だから文系に進む」というのは、積極的に「文系」を選択していることにはなりません。同様に「古典が苦手だから理系に進む」も同じような感じですか。(ちょっと違うかもしれませんが)

このような状況ですから、いざ大学で学ぼうとすると、学習領域ごとに基礎学力にムラが生じたまま講義を受けることになります。これで大学の講義を理解できるのならば、その学生は先天的に優秀です。しかし、多くの学生はそうではありません。例えば経営学でも経済学でも、きちんと学ぶのならば数学は必須なのですが、たまたま経営学や経済学が「文系」に分類されているため、このような悲劇に遭遇することがあります。

大学は受験でスクリーニングした学習領域以外の学習を行わなくてもよい、という安易な世界ではないはずです。とは言うものの、現実には教養教育よりも専門教育に偏重する傾向もあり、学生を受け入れる大学側もいびつな構造を抱えているように感じます。

専門教育を推し進めるのは、大学が研究機関の側面を持ち、かつ他大学との差別化を図る上で、先鋭的なカリキュラムを示さなければならない(それが学生の進路にも影響を与えるため)ことに由来するのだろうと推測しています。

ただ、専門教育の土台になる基礎学力は、異なる学習領域であっても必須の能力であるはずです。基礎学力を無視して専門教育を進めることは困難なのではないでしょうか。

#ちなみに、私自身は「文系」「理系」という分類には否定的です。これは高校が採用可能な単なる受験対策のテクニックの一つに過ぎません。

次回は「学習の方法や態度の未熟度」について考えてみます。

 

 


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