地域情報化:地域における情報分野で自治体が担うべき役割は何か(1)

Administrative Lawyer CIO Contribution

まず、申請者は申請行為に至る何らかの事由をそれぞれ持っています。

一般的な許認可申請の場合は、許認可を得ることにより何らかの(多くは事業運営上の)メリットを享受したいために、申請行為を志すわけですね。

さて、次はどうしましょう。

・・・あれ? 次はどうすればいいんでしたっけ?

特に予備知識を持たない方にとって、いきなり躓くのがこのポイントです。

当たり前のことなのかもしれませんね。許認可申請はしたいが、いつどこに何をすればいいのか、という基本的な知識を得る作業が必要なのです。

行政手続きの多くは申請主義と言って、メリットを得たい人自らがアクションを起こすことが一連の手続の起点となります。

何をどうすればいいのか、というモヤモヤとした「申請意思」を具体的な「申請手続」に整理し転化させることに、今の行政機関は手厚いフォローをしているわけではないのです。

前述の行政書士たちの疑心暗鬼ぶりは、電子申請により申請者が行政書士を「中抜き」して直接手続をすることに対するものでした。政府、有識者だけではなく、行政書士たちでさえ、そう思っていたのです。

すなわち、申請者自らが手続をすることが前提と思われた電子申請システムであるにも関わらず、申請手続きに関する知識を得る作業が同じオンライン上で実現できていないことが問題だったのですね。

私が元々行政書士だったからかもしれませんが、ハッキリ言って、

「許認可手続をなめている」

としか思えません。申請書の様式さえオンラインで再現すれば、誰でも手続ができると錯覚していたのです。

ちなみに行政書士たちの錯覚は、電子申請システムが相当にインテリジェンシーな仕組みを有しており、行政書士が持つノウハウまでシステムでカバーしていると思い込んでいたのでした。

もちろん特定の手続に特化したシステムを構築すれば、そのあたりのノウハウも盛り込まれることとなり、行政書士の心配も現実になるのですが、現時点で「ちょっと賢くて便利かも」と思う電子申請システムは、e-Tax(国税電子申告システム)ぐらいです。(税理士がe-Taxとうまく共存しているのは、税理士の主たる業務範囲が法人税であり、e-Taxで主に扱われている所得税と競合しないからです。本筋と関係ないので、いずれ別の機会に。)

利用率が向上しない残念な電子申請システムの多くは、総務省が基本仕様を定めた「汎用受付システム」と呼ばれるもので、前述のとおり、申請書の様式がオンラインで再現できる(その申請書で作成した申請データに電子署名できたりもする)ぐらいしか機能がありません。

「汎用」ですから、個別のノウハウを盛り込みにくい仕組みなのです。ある程度の利用者がいなければ、ある手続きに特化した専用システムを作りこむこともできませんし、法令改正などによるメンテナンスの費用も累積すればバカになりませんからね。

ちょっと話がそれましたけど、「電子申請システムの構築」と「申請手続きに関する情報提供」は両輪そろって動くものなのです。

これを主張している研究者は私だけでした。(「申請主義」が電子申請の普及を妨げているのでは、という意見は他の方からも出ていますが、当時はそこから具体的な研究に進んでいませんでした。)
マイナンバーに関する一連のシステムの中で「マイポータル」という機能が導入され、これが行政から申請者への「プッシュ型申請」を実現する未来図が示されています。先行した取り組みはいくつかの自治体で行われています。

住民サービスの本質を追及した「インテリジェント型総合窓口」の実現https://www.lasdec.or.jp/its/bestpractice/22saiteki/a14.html

ただし、これは文字どおり住民サービスを想定したものであり、事業活動に伴う許認可申請とは性質が異なることに注意が必要です。

電子証明書の普及やインセンティブも重要ですが、それだけでは解決するわけはない、と思う理由がここにあります。

ということで、次回に続く。

 

photo by: FutUndBeidl

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