経験により学んだこと(5)-立場ある人間は「悪」になってはならない

立場ある人間は「悪」になってはならない
これは最近経験した事柄で強く思うことです。私からは立場ある人間に対する「お願い」に近い事柄なのかもしれません。
なぜこのようなことを考えたのかというと、社会生活の中で他者の思考や行動に影響を与えるような方(今回はこのような方を「立場ある人間」と呼んでいます)の振る舞いにより、間接的に迷惑を被っている人にお会いしたことによります。
ちなみに「悪になる」ということについて、私が考える意味合いとしては、「悪いことをするな」というよりも「悪い考えを持つな」の方が近いでしょう。ただ、他人から見えるのは思想ではなく行動なので、少なくとも悪意(法律上の意味ではありません)を持った上での行動は慎むべきなのです。
もしそれができないのであれば「立場ある人間」としては不適格です。すぐにその立場を降りていただかなければなりません。責任をとって辞めろという単純なレベルの話ではありません。そもそも自己コントロール能力を持ち合わせていないわけですから、それ相応の立場に収まるべき、という意味です。
もちろん本人が良かれと思ってやっていることならば、私からとやかく言うことではないのかもしれません。このあたり「悪」の定義は相対的なもので、共通認識を持つことが難しいのは承知の上での話です。深く突き詰めると、各人の倫理観・宗教観にまで及ぶ話なのかもしれません。(私は外国の知人から「お前の宗教は何か」と尋ねられたら、何も答えられない程度の人間です)
ただ、他者からの信頼(Trust)が重要な要素となる業界では、自分の倫理観・宗教観のみに照らしあわせた行動で充分とは言えません。この辺りは以前書いた「経験により学んだこと(4)-情報システムとして整合してさえいればオッケー、というわけではない」におけるスコープの話につながります。
行政分野、防衛分野、警察、消防、警備に関する分野などは、以前から「信頼」されていることが必須の業界ですが、最近では情報セキュリティや金融なども他者からの信頼を求める業界として注目されています。
もし、情報セキュリティを専業に扱っている会社の立場ある人間が、悪意を持った上での行動をしていた(と他者のスコープから見える)のならば、それはその会社の存在意義すらも疑われることになるでしょう。
同様に行政機関の人間として、私自身も「悪」にならないように律していきたいと考えます。
#Googleのスローガンでも “Don’t be evil” というものがありましたね。