ファイブフォースによる外部環境の分析を行う際、企業単位で分析を試みると様々な要因が混同し、自社を取り巻く競争要因や競争圧力の多寡が判別できなくなる。
そこであらかじめ(あるいはファイブフォースによる分析の際に)業界を定義する必要がある。ジョアン・マグレッタは自身の著書の中で業界の定義について次のように解説している。
業界を「製品の範囲」と「地理的範囲」の二つの面から定義する。
複数の競争要因(売り手、買い手、既存業者)や参入障壁に違いがある場合、またはどれかひとつに大きな違いがある場合は、それらの製品や地域は別々の業界に属すると考える。
製品の範囲の場合の例
自動車用のオイルはトラックや据付した機械のオイルと同じ業界に属するか?明らかに買い手は異なり、そのための販売チャネルもロットも異なる。売り手(仕入先)も異なるかもしれない。よって、別の業界であると判断する。
地理的範囲の場合の例
セメント業界はいくつかの競争要因は同じだが、買い手はそれぞれ国内の顧客である。つまりセメント業界はグローバルな視点では同じ業界とは言えず、各国の市場ごとに異なる戦略が必要となる。
(参考:[エッセンシャル版]マイケル・ポーターの競争戦略, ジョアン・マグレッタ, 2012, 早川書房)