前回の記事「専門知識スキル(1) ? 行政書士に求められるスキル」の続きです。
今回は専門知識スキルを得るきっかけから解説していきたいと思います。
行政書士の業務は良くも悪くも許認可申請書類作成を中心にして考えるべき、というのが私の持論です。
そこで私が考え出したのが「川口メソッド」という手法です。
まぁ、あまり難しく考える必要はありません。許認可申請手続をアウトプットである書類を起点にして、作業リストを作成していきましょう、ということです。
許認可申請ではその申請種別ごとに要求される書類が異なります。
(これはわかりますよね?)
しかし多くの場合、要求される書類というのは、法定様式の組み合わせと事実関係を証明する裏付書類の組み合わせであり、作業レベルとしては、それぞれの申請案件により内容が異なることはありません。
つまり、あらかじめ業務マニュアルを作成しておけば、誰でも同じ作業を行い、成果をあげることができます。
そう、行政書士の能力はここでは発揮されません。
多くの行政書士はこの事実にプライドを傷つけられるようですが、所詮その程度の作業であるということを認識しておくべきでしょう。
こういうと「行政書士の仕事はマニュアル化できないノウハウの塊なんだ、そんな単純な話ではない・・・」といわれそうです。
しかし、あえて意見しましょう。
すべての作業は例外なく形式知化できます。
「できない」というのはその努力を怠っているだけです。もちろん、行政書士自らが作業を形式知化してしまうと、自らの存在意義を否定してしまうことにつながるので、意図的に形式知化していないだけ、かもしれません。
それでも「形式知化できない」とおっしゃる方はこんな意見をもっているようです。
「今は廃れてしまったけど、行政書士の報酬の根拠として『高度の考案を要する書類作成』は報酬が若干高めに設定されている。つまり、行政書士でなければできない高度の考案を要する書類は形式知化できないんじゃないのか?」
なるほど。おっしゃることはわかります。でも、私に言わせれば「高度の考案」というのは日本語ができれば常識の範囲でしかありません。
もちろん「高度の考案」の根拠として相応の知識は必要です。
ただし、行政書士として知っている知識ではなく、あくまでも業界に身をおいていれば得られる知識であることは認識すべきでしょう。場合によってはお客さんの方が詳しいのです。それを行政書士だから、ということで知識があると考えるのは間違っています。
となると、専門知識=業務・業界の知識 と考えるのが自然なのではないでしょうか?
むしろ、
- 当該分野の業務を形式知化する能力
- 法の趣旨をよみ砕く能力
- 業務や業界に関する最新知識を吸収する能力
が必要なのです。そして、それらは「川口メソッド」によるトレーニングを積むことで
習得できます。
特に形式知化を進めることにより、自身の稼働時間を超えた組織的な業務展開が可能になることを忘れないでください。
付け加えるならば、企業法務を扱うのであれば、基礎的な会計の知識は得ておく必要があるでしょうね。なぜならば、企業とは営利を追求する集団だからです。