情報システム調達:提案公募での業者選定手法はこれまでの呪縛を打ち破れるか(5)

前回の記事「情報システム調達:提案公募での業者選定手法はこれまでの呪縛を打ち破れるか(4)」の続きです。
今回は前置きなく、続きを書いておきます。よく判らない方は、前回の記事から続けてお読みください。

提案事項に対する評価基準の作成

一方、提案事項については、その評価が Yes/No ではなく、良い提案を高く評価するような段階評価となります。
これまでの公募型プロポーザルでは、要求事項、提案事項の区別なく、例えば5段階評価として、5が最も高い評価、1が最も低い評価、3を中間的な評価というような手法を採用していました。
自治市では案外これが(低いレベルで)機能していて、

良い/悪い ≒ 好き/嫌い

みたく評価づけられていたきらいがあります。
公的機関の説明責任という観点からすると、あまりに評価軸がぼやけているために、いかようにでも後付け解釈できるというメリット(?)もあり、重宝がられていたように思います。
今回は特に客観性を保ちたい思いもあり、定性的な提案事項にのみ段階評価を採用しました。
その際、最も低い評価である1は、要求事項と同等の提案(つまり追加提案なし)とし、最も高い評価は提案事業者全ての提案を比較した上で最も良い提案を5としています。
今回は既存システムを新しい情報基盤に移行する際の支援業務の内容を評価する際に定性評価としました。
このあたりは議論されるポイントですが、定性的な提案事項のウェイトを相対的に低めに設定することでバランスをとっています。
また提案内容を定量的に評価できるものについては、評価をしやすいように、計算式を定めました。
まず定量的な提案内容に上限(一番良い)と下限(一番悪い)がある場合は、常に上限が5、下限が1となり、中間的定量提案は

((上限の提案値-下限の提案値)/5)×中間的提案値

で算出することにしました。
上限、下限が自明の場合も考えられます。
下限が自明の場合は、全ての提案値の平均を3とした上で、決定している下限値を1として、同じように中間提案値を計算します。
その際、提案値が5を超える場合は5とします。(上限が自明の場合も考え方は同じ)
例えば、バックアップのRTOを提案させる場合、要求事項としてのRTOが1時間ならば、RTOが短い方がよい提案と考えます。
ただし、RTOが0よりも短くなることはないので、上限を0、下限を1時間とした中間的提案値を計算します。
実際にはこれまでのRFIによる情報や様々な角度から提案されるであろう状況を勘案して、シミュレーションした上でウェイトで調整しています。
見積金額についても定量的提案と同じ方法で価格点を実施します。
苦心した後、実際に公募型プロポーザルを実施しました。
その結果は次回に。