アイディアノート:経営戦略論 第1回 第1章

Contribution Strategy University

.Webinar で公開している経営戦略論の学習コンテンツを、新たな手法で作成した、試行錯誤の経過をメモ書きしておきます。

---

第1章 経営戦略とはなにか

第11回は今後学んでいただく「経営戦略」科目について、よくある質問とその答えのやりとりで雰囲気を味わっていただくことを目的とします。素朴な質問のオンパレードです。

では、始めましょう。

Q: おまえ誰? 何者?

A: 自己紹介します。(と言って、自己紹介のスライドを見せる)

Q: 早速だけど、経営戦略って何?

A: まずは自分で調べてみることから始めよう。反射的にググるのもどうかと思うが、「教えて君」よりは主体的に行動している分マシと言える。さあ、今このビデオを止めて、手元のパソコンで「経営戦略」というキーワードでググってみよう。

ということで、ググってみると、出てくるのは定番のWikipediaだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E6%88%A6%E7%95%A5

まぁ、いろんな人がいろんな定義をしているバズワードであることがわかるね。

今回は経営戦略について学ぶことになるので、同じくWikipediaの経営戦略論の項を見てみよう。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E6%88%A6%E7%95%A5%E8%AB%96

Q: これではよくわからない。そもそも私は実際に経営をする予定は無いんですよ。なのに、経営戦略って勉強しなきゃいけないもの?

A: あれま。そういう質問しますか。経営戦略というと、経営の場面に限定されてしまいがちなので、一般的に「戦略」を考える意義について話そう。

私は戦略を「目的を達成するための手段やその道筋」と定義している。特にその目的が「相手よりも良い何かを達成する」のであれば、そこには「競争」という概念が生まれてくる。

誤解を恐れずに言えば「相手と競争して勝つためにはどうすればいいのか」を考えることが戦略であると言えるね。特にこの部分を「競争戦略」と呼ぶこともある。

さて、なぜ「戦略」について考え、学ぶのかという話題に戻ろう。

もし、どこかの相手と何かを競わなければならない事態になったとしよう。経営じゃなくてもいい。「合コンでおいしい思いをしたい」とか、そういうのでもいい。その時キミはどうする? どうやったら有利に競争できるのかを考えるんじゃないかい? 逆に何も考えずに競争に挑むということは、相手や周りの状況と向き合うたびに「行き当たりばったり」の対応をすることになる。

もちろん「行き当たりばったり」がうまくいくこともある。それは否定しない。でも次はうまくいくとは限らない。チャンスはまた巡ってくるんだ。その時、少しでもうまくいく確率を高める工夫をすることは必要なんじゃないかな。

では、今度は経営戦略、つまり経営の場面だとどうだろう。例えば、モノを売るときに、キミならどうする? その商品にいくらの値段をつける?

「まぁ、1000円くらいならみんな買ってくれるかな?」

と、思いつきで商品の値段を付けて商売をするかい? じゃあ、もし商品を販売し始めて売れなかったら、

「では、800円にしてみようかな?」

と行き当たりばったりで価格を変えてみるかい? 売れない原因が価格にあるのかどうかも調べないで? もしかしたら商品に魅力がないのかもしれない。その商品が必要な顧客は商品のことを知らないのかもしれない。あるいは、同じような商品が世の中にすでに出回っているのかもしれない。

何も考えない、行き当たりばったりの経営でうまくいく確率なんて、たかが知れてる。

Q: でも、経営戦略って、自分に身近なものじゃありません。モノを売ったりしないし。

A: ああ、そう? 商品の売り買いだけが経営じゃないよ。じゃあ、経営という概念を少し広く考えてみよう。

では、ちょっと雰囲気を変えて、芸能界を例に考えてみよう。キミはタレント事務所の社長だ。これから所属のタレントをテレビに出演させて知名度を高め、売れっ子の人気アイドルにしてバンバン稼いでもらおうと考えている。さて、キミはどうする?

その時、ちょっと考えて欲しい。例えば、テレビに出演すると言っても、テレビの時間は無限じゃない。単純に考えると、チャンネル数(放送局の数)と放送時間(一日最大24時間)と積ということになるだろう。チャンネル数が5つだったら、一日あたり5×24=120時間だ。

一日あたり、この120時間という限られた時間(資源)を他の事務所のアイドルやタレントと取り合わなければ、出演時間が得られないわけだ。まさに競争だね。ではキミは何を考える?

このように、この場合は「どうすれば多くテレビに出演させることができるのか?」と考えることが戦略だと言える。

実はこの戦略には解決策としてのセオリー(理論)がある。

まず一つめの解決案は「他のタレントとキャラが被らないようにする」というものだ。テレビ番組というのは、いろんなタイプのタレントたちが集まって、番組の中で役割分担した上で出演している。これは今までテレビ番組をさんざん観てきたキミなら、もう気づいているはずだ。

私の知りうる限り、現在のテレビ番組では、いくつかのキャラクターの「枠」があるようだ。

  • インテリ枠(クイズの回答者枠)
  • おバカ枠
  • おネェ枠
  • 筋肉枠
  • 帰国子女枠

この枠の座席数は決まっているので、この座席が空いたら速やかに自らのキャラを設定し直して、枠に入らなければならない。

もちろん、従来の枠を気にせず、新たな枠を創出することも大切な活動となる。「毒舌枠」なんてのはその代表的な例だ。

二つめの解決案は、出演料(つまりギャランティ)を低く設定することだ。同じようなキャラのタレントが芸能界に複数名存在すると仮定しよう。もし、それぞれが出演することで生ずる番組の価値は同じであるならば、出演料の低いタレントを出演させる方が、テレビ局にとっては合理的な選択となる。これはわかるよね? テレビ番組を制作する予算も有限だからだ。

さらに三つめの解決案もある。地方のローカルタレントを目指すというものだ。例えば5つのテレビ局のうち、一つは福岡にあるとしよう。その場合、福岡のテレビ局に向けて最適化されたタレント(山本華世)になることで、他のタレントの参入を抑制することができる。(もちろん一つのテレビ局に依存することになるので、そのテレビ局との間で出演料引き下げなどの圧力を受ける可能性もあるのだが)

ちなみにここまでの話は、私が芸能界やテレビ局の事情に詳しいから話せるわけではない。全て思考実験(なるべく論理的に考えて導き出したもの)である。

そう考えていくと、このセオリーというものは、芸能界のタレントという場合に限らず、別の業界、別の対象でも同じような関係が成立しそうなことに気づくと思う。

このような普遍的なセオリーを学んでいくのが「経営戦略」だと思ってもらって構わない。

こんな感じの答えでいいかい? よければ、次の章でまた別の質問に答えよう。

 


« »