地域情報化:低迷続きの電子申請分野に潜む本当の課題は何か(5)

CIO Contribution

ところで、私が郵送申請にこだわるのはなぜかというと、もし今後、完全オンライン型の電子申請に移行するとして、それまでに解決するべき課題のうち、制度的な課題については解決の道筋をつけなければならないと考えているからです。

現状のまま、技術的課題を一応クリアできたとしても、完全オンライン型の電子申請に移行するのは、非常に困難ではないかと思います。

申請書類を直接窓口に持参する「対面申請」に対し、郵送申請や電子申請(オンライン申請)は「非対面申請」と扱われます。

多くの行政手続きは、非対面申請に対応するべき業務フローが庁内で整備できていません。

その上、全ての手続きが電子申請になるわけではないでしょうから、対面、非対面が混在したままで処理を行うこととなります。この場合の混乱を避けるための新たな業務フローを庁内で構築し、運用を安定化するには相応の時間がかかります。

また対面申請では、申請書類を窓口に持参したときに、窓口の職員が書類をチェックすることがありますが、これは行政上の取り扱いでは、

「申請受付前の任意の行政指導」の一環

とされています。

正式に受付をする前に、書類の形式的な審査(場合によっては内容の審査を含む)を行うことで、受付後の補正指示を極力回避しているのです。

というのは、一度受付してしまうと受付行政庁側で審査する義務が発生してしまうからなんですね。もちろん形式的・内容的に問題が無ければ許可するのですが、それ以外については、正式に補正の指示を理由をつけた上で返さなければならないのです。申請者が補正を拒否したり、相応の期間中に補正が為されない場合には、不許可としなければなりません。

私の知りうる限り、申請を受け付けるだけ受け付けて、結果をガチンコで返す行政庁は数えるほどしかありません(主に国の機関に多く、自治体では見たことがありません)。

#ちなみに意図的に話題とすることを避けていましたが、私が関与する特許庁における出願も郵送による手続きが可能です。それゆえに、出願された書類に対する形式審査(特許では方式審査と言います)のルールは非常に厳格に運用されています。

非対面申請の場合、任意の行政指導ができる機会がありませんので、現時点では杓子定規で受理し、許可、補正、不許可をきちんとしたルールで対応することとなります。こういった対策を事前に検討しておかなければならないのです。

まぁ商業登記に関する手続では、一応の対応策は考えられているようですけどね。
その件も含めて、次回以降に少し補足することにしましょう。

 

photo by: JD Hancock

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