積算と見積精査:行政機関の情報システム調達における積算業務は妥協の産物か(3)

CIO Contribution

本来は工数積上げ法かファンクションポイント法を使うことが推奨されていますが、現在のみなさんの状況を見ると不本意ながら見積精査法を採用せざるを得ません。

何らかの事情で、複数ベンダーからの見積が取れない場合には、本来の原則に立ち返り、工数積上げ法、ファンクションポイント法を使うこととなりますので、ご協力をお願いします。

---ここまで

ということで、妥協してやっている見積精査を積算の手法の一つにまで格上げしてみました。

ここで私が何を狙っているかお気づきでしょうか?
自治市のレベルでは、積算に耐えられる程度のWBSやシステム設計書を作成させるのは困難な場合が多いのです。

一方、これまで予算策定時はベンダーからの参考見積を1社だけでよしとしていた風土があり、正攻法でこれを変えることによる庁内の反発は意外に強いものでした。

教科書的には複数ベンダーからRFI(Request for Information)を取りながら、システムの規模を測っていくことになっていますが、ITガバナンスに課題を抱える自治市では、大規模プロジェクト以外はRFIは使われていなかったのです。

そこで、この状況を打ち破るために、

  • 複数見積を取ること
  • 積算に耐えられる品質のシステム設計書を作成すること

の二者択一を迫ったわけです。

私の読みは、RFIの代替手段となるべく、複数見積を取る方向に動くことでして、期待通りにほとんどの案件で複数見積を取っていただきました。

こうなると、積算作業は比較的楽になります。もともと積算というのは、予算協議のための基礎資料ですので、複数ベンダーからの見積を比較してみれば、ある程度の方針は見えるというものです。

また、ベンダー間で見積額に大幅な乖離がある場合には、自治市から示した前提条件の解釈が異なる場合が多く、それを補うべくシステム設計書の品質向上を促すこととなり、調達後のトラブルを軽減する効果も出ています。
(結局、システム設計書の品質を向上させなければならないことに気づいてもらえるのです)

この取り組みは非常にうまく機能しました。

しかし、これだけでは解決しない案件もあります。

(と言って、次回に続く)

 


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