積算と見積精査:行政機関の情報システム調達における積算業務は妥協の産物か(2)

CIO Contribution

しかしながら、この積算はそれなりに情報システムに関する過度な予算計上に一定の歯止めを掛ける効果があることも事実です。

なんと言っても、ベンダーからの見積を丸呑みせず、第三者によるチェックを経るわけですから、それなりの抑止力が働きますし、積算を担当する情報部門の職員もなんとなく経験知が蓄積されます。
(それも人事異動であっけなく失われてしまうのですが)

でも何か違う。
私の感覚では、この一連の行為がベストプラクティスとはとても言えないのでした。

私の経験と架空の自治市がごっちゃになって恐縮ですが、私が自治市のCIO補佐官に赴任したとしてお話を続けましょう。

役所の慣習に染まっていない私は、この積算という行為にもう少し実効性を持たせ、継続的な改善を促す作用を持たせるように工夫することにしました。

まずは、現状の課題を明らかにすることから始めます。

自治市のような貧乏自治体(失礼)では、予算削減を第一のテーマとして与えられてしまうのですが、無茶な要求によりベンダーを疲弊させてしまうことにより、お互いの信頼関係が維持できなくなる事は避けたいと考え、なるべくオープンな調達プロセスにより、費用の客観性を持たせる方向に転換しました。

情報システムに関する費用を、なるべく市場原理に委ねるようにしたのです。

そのためには、情報化企画の部分から手をつける必要があります。以前どこかの記事にも書きましたが、多くの地方公共団体ではシステム設計書のクオリティがまだまだ十分とは言えません。

曖昧なシステム設計書をベンダーに提示し、見積を取ったところで、出てくる金額の精度はいい加減なものです。後から仕様が変わって、委託者、受託者とも右往左往するという現象はこれまでも多く見られてきたようです。

そこで情報政策関連部門で積算を担当する職員には、システム設計書の作成を重点的に支援する方向にシフトさせました。このあたりのテクニックもあるのですが、それはまたの機会に。
とにかく少しでもシステム設計書のクオリティを向上させることが必要なのです。

一方、私は自治市の情報システムを担当する原課職員に対して説明会を開き、積算の考え方についていくつかの方針を示しました。

(ということで、次回に続きます)

 

 


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