経験により学んだこと(10)-目標管理(MBO)の運用がねじ曲げられていないか

Administrative Lawyer Book Review CIO Contribution Strategy

年度末になり、あちこちの組織では人事異動のシーズンが到来しました。

私は来年度も同じ立場で仕事に従事することが決まったので、ひとまず私の人事異動シーズンは終わっているのですが、行政機関の多くはこれからスタートというところも多いでしょうね。

港区はすでに職員の内示が終わっているようで、対象となる方は業務引き継ぎの準備を進めています。また、国の行政機関は年度末に限らず、途中でもどんどん人が入れ替わります。人事異動そのものが常態化しているようです。

さて、人事異動とともに、あちこちの組織で行われるのが年度単位の自己目標管理です。MBO(Management by Objectives)とも言いますね。外資系企業は四半期単位で行われることも多いです。

ちなみに、目標管理はピーター・ドラッガーにより提唱されたというのが定説ですが、ドラッガーが示したのは、「MBOーS」というものです。

MBO-S:Management by Objectives and Self-Control

つまり目標管理というのは、自己統制とセットで行われるべきということです。

これまでもいろいろな所属でMBOに接してきましたが、私自身は当然このことを意識して目標設定をしています。あくまでも自分の成長のために取り組むことなのですから。

ところが、このMBOの運用が機能していない、あるいはねじ曲げられて運用されている組織もありました。単にMBOを外部から押しつけられたような組織は、その本質を理解しないまま形だけ運用されています。これは、関与する人たちの時間を浪費することになり、大変迷惑な話です。

目標管理だけならば、自分の問題としてとらえることもできるので、最悪は自分のためと割り切ることもできるのですが、多くの場合MBOには組織から(多くは上長から)の評価が伴います。ろくに部下も管理できていない管理職の場合、MBOに対する評価は単なるセレモニーになりがちです。

さらに困った組織はMBOの運用を意図的にねじ曲げ、従業員を追い出す口実にしたり、待遇を一方的に変えたり、給与を減らしたりする道具として使っているようです。この場合、従業員の掲げる目標は関係ありません。そして目標設定よりも(組織からの)評価に重きを置かれ、その方法は減点法です。評価の基準はなんと「好き嫌い」です。

設定した目標の合意形成がされていないのですから、評価の視点は自由自在です。こうして不幸な従業員の多くが減点され、疲弊し、組織を去っていきます。まぁ、組織からすると狙いどおりなのでしょうが。

逆にMBOが機能し、お互いの納得感が得られたこともあります。意外と思われるかもしれませんが、それは高知県庁に赴任した二年目です。その時の上長は、多少風変わりな方だったのですが、非常に聡明で(月並みな言い方をすれば)人間力のある方でした。

その方は、MBO面談の際に、私の掲げた目標を見る前に、自分の掲げた目標を見せてくれたのです。行政組織というのは階層構造ですので、当然この方も、自分の上長となる役職者に対して設定した目標を示して合意しています。

つまり組織全体が予め掲げている目標に基づき、自分(この方)の立場での目標を示すことで、組織としての自らの立ち位置、役割について私に説明することからスタートしたのです。組織の一員としての私は、少なくとも上長と同じ方向を向いて仕事をすることを求められるため、私が掲げた目標と上長、組織全体の目標との間にズレがなくなります。私も納得してMBOを進めることができました。

何よりも、上長も私も組織全体の目標に向かって進む、同じ立場の人間だということが再確認できたのです。

非常に当たり前の話ですし、目標を掲げ実行する組織のことを考えれば、むしろこのようにしないとおかしいはずなのです。

「そんなの当たり前。お前が遅れている」と思われる方も多いかもしれません。ドラッガーも同じ考えでしょう。しかしこの時以外に、このような方法で目標管理をしたことはありません。ただの一度も。

これでは、MBOの運用が機能していない、あるいはねじ曲げられているとみなされても仕方ないのではありませんか?

追伸:いろいろと書いていたら、こんな記事を見つけました。
(ダイヤモンドオンライン)

http://diamond.jp/articles/-/20628


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